突然のラブレター

「これ・・・」とある日、勤め先の学校で学生からメモ紙を突然手渡されました。
「なに?」と問いかけると「見ればわかる」と悪戯な目を向けて手を振り去って行ったのです。
その紙には携帯電話のメールアドレスが書いてありました。

メールして・・・ってこと?嬉しくてにやける顔を隠すように、私は小さくメモ紙を折りたたんで鞄のポケットに入れました。

翌日、「きのうどうしてメールくれなかったの?」とエレベーターを待つ私の隣に彼が来て言いました。
「メモ、捨てちゃった?」と甘えるように言うので、私は首を横に振ると、笑顔になった彼は「今日も待ってるから。」と言って友達の輪に戻っていきました。

だけど、彼は学生で私は事務員。
家に帰った私は、毎日待たれるのも嫌だし、何か相談があるのかもしれないしなどと、独りで言い訳をしながら、メモに書かれたアドレスに自分の名前と「なにかありましたか?」と入力してメールを送りました。
するとすぐに「ありがとう。なにもないよ!話したかっただけ」と返信がきて、「夏休みデートしよう」と最後に書かれていました。

「からかわないで。用事がないならメールもしないでください」とメールを送ると、またすぐ「からかってないよ。ゆっくり話してみたいんだ。時間作ってよーお願いします。」と返事が帰ってきたのです。

結局彼の誘惑に乗ってしまい、夏休みのある日、カフェで待ち合わせをしました。
どこかに行くわけでもなく、何気ない話をしただけでしたが、話しやすさと居心地の良さに、私はすっかり彼と過ごす時間を楽しんでいました。

帰り際「ありがとう。今日話せて楽しかった」と私が言うと「マジで?すげー嬉しい!また誘ってもいい?」と言うので、私は照れながら頷くと彼は大きくガッツポーズをしながら喜んでいました。
そんな彼をみて、私はもう次のデートが楽しみになっていたのでした。

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